才能のある児童生徒は、年齢や地域、性別を問わず、私たちの身近に存在します。例えば、一つのことに深く没頭する子供、語彙が豊かで言語的感性に優れた子供、理想に燃え、強い正義感を抱く子供、独創的な視点を持ち世界を見つめる子供たち。その輝きは、日常のふとした瞬間や学校生活の中に確かに現れています。
しかしながら、その優れた力が、既存の教育の枠組みの中では十分に認識・支援されず、時に誤解され、困難を抱えてしまう現実も否めません。知的・情緒的な発達がアンバランスであったり、他者の感情や期待に過敏で傷つきやすいこともあります。学校教育や社会⽣活に不適合を感じる⼦供、才能と困難を併せ持つ(2e: twice-exceptional)⼦供もいます。才能を活かす環境に恵まれなければ、その可能性は埋もれてしまいます。
こうした課題に対し、国も新たな一歩を踏み出しました。文部科学省が令和5年度より始動した「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」は、日本の教育における静かな、しかし確かな変革の幕開けです。令和6年には、日本初となる第18回アジア太平洋ギフテッド教育研究大会(APCG2024)が開催され、世界26カ国・地域から420名の研究者・実践者が集い、才能教育の未来を共に語り合いました。
こうした機運の中、愛媛大学は令和7年4月1日、日本で初めてとなる「才能教育センター(Centre for Gifted Education and Talent Development)」を設置しました。本センターは、才能のある児童生徒への包括的かつ実践的な教育支援を推進し、一人ひとりの「強み」を社会に活かす教育の創造を目指します。附属の幼稚園・小・中・高・特別支援学校の教員が実践知を携えて参画し、国内外から招聘する客員教授との対話と連携により、活動の質を高め、知見の波及を図ります。
私たちは、まだ見ぬ才能の「見える化」と継続的な支援を通じて、多様性の中で子供たちが挑戦し、学び、輝く機会を創出してまいります。全ての子供の可能性が社会とつながり、それぞれの個性が響き合う共生社会の実現に向けて−愛媛から、新たな才能教育の扉をひらきます。
愛媛大学教育学部附属
才能教育センター長
隅田 学
子供一人ひとりの
「強み」を育む
特定分野に
特異な才能のある
児童生徒の教育へ
「理論的基盤」
と
「実践的指針」を提供
多様性の中で輝く
「個性が協調し
合える社会」
の実現
才能のある児童生徒
才能部分の特性が誤解されていることもあり、優れた才能を開花させる機会を奪われている
義務教育の段階から
児童生徒の特性を踏まえた教育が必要
才能が輝く学校・社会
学校・家庭・社会が連動し、全ての児童生徒が個性や能力を輝かせながら学校生活を送ることができる教育の実現 (※1 ※2 ※3)
一人ひとりの「強み」を育み、
多様性の中で輝く個性が協調し合える
社会の実現
令和7年4月1日、愛媛大学教育学部附属「才能教育センター(E.U. Centre for Gifted Education and Talent Development: EU-GATE)」が設置されました。
今後我が国の学校教育における特定分野に特異な才能のある児童⽣徒への教育⽀援に対して理論的基盤と実践的指針を提供するとともに、子供一人ひとりの「強み」を育み、多様性の中で輝く個性が協調し合える社会の実現に寄与していきます。
実績
01
才能教育に関わる研究・実践の⽇本・アジア太平洋におけるセンター的機能の形成
02
附属学校園及び国内外の学校、教育委員会、⺠間企業 ・団体等と連携した才能教育カリキュラム、教材、指導法、評価法の開発と実践
03
学校教員・一般を対象とした才能教育に関わる研修や理解増進
04
コンテストや研究メンタリングを通した才能発掘と継続⽀援
05
学校と連携した、才能のある児童生徒に関する相談⽀援体制の構築

隅田学
(センター長・教授 )
特異な才能のある児童生徒の理解と支援が学校と社会に広がるよう尽力します。

中野広輔
(副センター長・教授)
特別支援医学の視点から才能教育研究を行います。

井上昌善
(准教授)
社会科教育の視点から才能教育研究を行います。

苅田知則
(教授)
特別支援心理学の視点から才能教育研究を行います。

清田朗裕
(講師)
国語科教育・言語学の視点から才能教育研究を行います。

河野美千代
(教授)
教育実践学の視点から才能教育研究を行います。

立松大祐
(教授)
英語科教育の視点から才能教育研究を行います。

田中雅人
(教授)
スポーツ教育学の視点から才能教育研究を行います。

玉井輝之
(准教授)
技術科教育の視点から才能教育研究を行います。

向平和
(教授)
理科教育・生物教育の視点から才能教育研究を行います。

吉村直道
(教授)
数学教育の視点から才能教育研究を行います。

宮本春奈
附属幼稚園 (教諭)
幼稚園をフィールドとして才能教育研究を行います。

水口達也
附属小学校 (教諭)
小学校をフィールドとして才能教育研究を行います。

真木大輔
附属中学校 (教諭)
中学校をフィールドとして才能教育研究を行います。

川本孝
附属特別支援学校 (副校長)
特別支援学校をフィールドとして才能教育研究を行います。

横山泰士
附属高等学校 (教諭)
高校をフィールドとして才能教育研究を行います。

大山くらら
附属高等学校 (教諭)
高校をフィールドとして才能教育研究を行います。

大西裕里
(研究補助員)
皆さんの才能教育研究を補助します。

松村暢隆
関西大学 (名誉教授)

Julia Link Roberts
Mahurin Professor, Western Kentucky University

Rena Subotnik
Academic Talent Development Program, University of California Berkeley

石川裕之
京都女子大学高等教育開発センター (教授)

Heidrun Stoeger
Chair for School Pedagogy, Universität Regensburg

Kimberley L. Chandler
Director of Curriculum, Center for Talented Youth, Johns Hopkins University

角谷詩織
上越教育大学 (教授)

Jae Yup Jared Jung
Professor, The University of New South Wales

Jiyoung Ryu
Director, Gifted Policy Center, KAIST Global Institute For Talented Education

Erkki Tapio Lassila
神戸大学人間発達学研究科 (助教)

Sanjita Prasad

森本久美